真澄探当證7 市辺押磐宮の御馬と近江商人
この時、市辺押磐宮命が御落馬あそばされるや否や、
宮の御乗馬は何を思ったのか、そのまま主人の宮を置いてそのまま何処かにかけていってしまった。
ここで不思議なのは、倭の国より近江の国に通じる往還街道があって、
その往還街道を二名の旅の商人が通行中で、
この商人らは近江の国の住人で、倭国に商用に行き、今商売が済んで帰る途中で、
この地に差し掛かるやいなや、市辺押磐宮命の御乗馬がそのまま逃げて来て、
あちこち彷徨って、ようやくこの土地に訪ね来たところで、
この旅の商人が往還街道を通行中に、旅人の着物の裾を咥えて異様な嘶きをするので、
旅人たちは何か起こったと推測して、
二人の商人は相談の上、乗馬が行くところに後ろから着いていくことにした。